世界の中心がロンドンであり続ける理由

今年の夏にロサンゼルスへ行くことになった。現地での仕事は楽しみだけど、あの横柄なアメリカの入国審査と、シンガポールからLAまでの旅路を想像すると、今から気が滅入ってくる。

シンガポールからアメリカへ行くには、東アジア(東京・北京・ソウル・台北など)を経由して、あわせて20時間以上かかる。サンフランシスコまでの直行便を使う手もあるが、それだと15時間も外の空気が吸えない。

シンガポールにとってアメリカは、地球の裏側どころか別の世界だ。そう思ったとき、ふとシンガポールを中心とした正距方位図法の地図が見てみたくなった。Googleで検索すると、任意の都市を中心とした地図の作れるサイトが見つかった。下図が、その出力結果だ。

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こうしてみると、東南アジアとオセアニア、インドと中国あたりが、シンガポールの近隣諸国と言えそうだ。北米は欧州より遥かに遠く、南米に至っては世界の果てだ。日本は近隣とは言い難く、福岡は北京と同じくらいの距離だけど、東京はソウルよりも離れている。

そんな東京はどうかと言えば、シンガポールからと比べて、アメリカの西海岸にずっと行きやすい。

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じゃあシリコンバレーの中心・サンフランシスコはどうだろう?これがなかなか悪くない。近場にはアメリカしかなく、ちょっと離れたところに欧州と南米、東アジアの主要都市が分布している。ゴーイングマイウェイで生きるには良さそうな場所だ。

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それがニューヨークを基準にすると、アジアが全くの別世界となって、やや偏りがでる。ワシントンを中心にすると、さらにアジアが遠い。

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じゃあロンドンを基準にしたら?

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これがグウの音も出ないくらい、世界の中心でした。

イギリスの立地良すぎ。そして、流刑地イギリスから遠すぎ。

ひとくちに研究職といっても、4つくらいの職分がある

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久々に西堀栄三郎の「忍術でもええで」を読んだら、(自然)科学的なアプローチばかりが研究じゃないんだぞ、と大いに励まされる表に再会したので、改めてエクセルで書き写した*1。各項目の詳細については、ぜひ原著を読んでもらいたい。約40年前の本とはいえ、今なお通用するであろう新製品開発の名著です。

ひとくちに研究職*2といっても、4つくらいの職分がある。そこに気づかなかったり、混同したりすると、悲劇は簡単に起こる。それぞれの職分は等しく尊くて、得意な仕事に専念できたら、それは何より素晴らしい。最近の自分は、上の表でいう応用研究に専念できていて、大変嬉しい。有難い機会を頂いてるなと思います。

*1:というのも、10年くらい前にも一度、パソコンで書写したから。

*2:研究所の所員と言った方が適切か?

問題がなくても問題ない

僕は電子遊具(ガジェット)を作っている。なので、見て、触って、面白い!と感じられるものが作りたい。ジャンルとしてはエンターテイメントで、テレビ番組やアニメ、漫画やゲームなんかと近いものを作ってる認識だ。
 
新しいガジェットを作るときは、これまでにない面白さを発見して提案する必要があるし、技術的な課題を解決する必要もある。そういう意味で、ガジェットの新規開発はアート的でもあるし、デザイン的でもある。
 

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アートとデザインの違いはわかりやすい。クリシェだけど、アートは問題を提起し、デザインは問題を解決するものだ。ただ、ここにエンターテイメントを加えると、こじれてくる。なぜなら、エンターテイメントは問題をもたないからだ。
 

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そうしたエンターテイメントの「問題のなさ」に、引け目を感じるときもあった。大人が取り組むには、真剣味に欠けるのかなぁと思うこともあった。だけど、問題がないからこそ、たまの休みを安らかに過ごせるのだし、娯楽で仕事の憂さが晴らせるのだ。
 
エンターテイメントは問題がなくても問題ない。ノープロブレムだ。むしろ、遊びがあるかないか、それが問題だ。