子分と舎弟の違い

Kindle Unlimitedに、登場人物の顔が全員ゴルゴ13という伝説のヤクザ漫画「日本極道史」があったので読み始めた*1。この漫画を読むまで、僕は子分と舎弟の違いについて、全く理解してなかった。アニキとオジキも年齢からくる違いだと思っていた。実際は、こんな感じだった。

  • 子分
    親分の部下。子分の取りまとめ役が若頭。親分が引退した場合、組織の継承権がある。

  • 舎弟
    親分の弟分。親分が子分だった時代の同僚というケースが多い。舎弟の取りまとめ役が舎弟頭。親分が引退した場合、組織の継承権はない。

  • アニキ
    ヤクザは組織の内外で義兄弟の盃を交わす。弟分から兄分への呼称がアニキ。

  • オジキ
    親分の子分から親分の舎弟に対する呼称。

ほか日本極道史には「手本引」という博打がよく出てくる。手本引に限らずヤクザの商売は違法・無法なものばかりだ。それを可能にするのは、身体的・社会的に人間を傷めつけるパワー(暴力)だ。ヤクザの世界は個人の裁量が大きいため、とかくパワーが暴発しやすい。だからこそ筋や仁義が不文律となる。

なお筋と仁義が通じない相手との抗争は、日本極道史・平成編に登場する。魔悲夜と書いてマフィアと読む。こちらも読み放題で読めるし面白い。

ボブ・ディランが「法の外で生きるには、実直じゃないといけない」と歌ってたけど、ヤクザの世界こそ、そうかもしれない。ファクト(事実)よりリアル(現実)やトゥルース(真実)が重視される社会は、誠実さが求められるものなのだろう。

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*1:初期は噂通りのゴルゴっぷりで、組長も若頭も殺し屋も髪型以外は全員同じ。前後のコマをチェックしないと、誰が誰だかわからなくなってしまう。とはいえ世界観やストーリーに妙な魅力があって、中期以降は顔のバリエーションも増えて読みやすく、気づいたら30巻くらいまで読んでしまった。バイオレンス100%だけど、おすすめです。

ブキバト「ブキティマがやられたようだな」

シンガポールの地下鉄の駅名は他言語が混在していて面白い。中国語もマレー語もタミル語も話せないから、電車のアナウンスを聞くたびゲームとかアニメの世界にいるような気分になって妄想が膨らむ。そんなわけで今日は脳内の民明書房に収録されている語彙の一部を、ここに書き写しておこうと思う。

 

 

「ブキ」四天王

ブキバトブキティマがやられたようだな」

ブキゴンバ「ククク....奴は四天王のなかでも最弱....」

ブキパンジャンキングアルバートに負けるとは、ブキ族の面汚しよ・・・」

【解説】シンガポールにはブキのつく地名が多い。 マレー語で丘の意味らしいが、蛮族としか思えない。同じ流れでプンゴルカシューも夷狄っぽい。ブキティマには、もともとマレー鉄道の駅があったそうだが、2011年の廃線で無くなってしまった。最近、跡地の近くにキングアルバートパークという地下鉄の駅ができた。残りのブキ族もまた、アルバート王の騎士達に征伐されるのだろうか。

 

「チュカン」兄弟

【解説】ヨー・チュカンチョー・チュカンの宦官兄弟。武力に劣るも、権謀術数に優れ、皇帝に隠れて私腹を肥やす。観客のヘイトを集めて、最終回の前くらいに死ぬ。

 

竜騎士「セラングーン」

【解説】インド出身の幻獣使いによって組織された帝国騎兵部隊の長。皇帝の直参として仕え、紫の翼竜を駆る。竜騎兵を意味するドラグーン、およびセガサターンの名作シューティングゲームパンツァードラグーンから妄想。

 

名剣「ブラスバサー」「テロックブランガー」「タンジョンパガー」

【解説】濁音がついてて語尾が伸びると、どこかエクスカリバー的なものを連想してしまう。テロックブランガーはハーバーフロントにほど近い住宅街、ブラスバサーは現代美術館のあたり。タンジョンパガーはリー・クワンユーの生前の地盤なので、強い(確信)。

 

大量破壊兵器「ポトンパサー」「ブーンレイ」

【解説】フォトン(光子?)やレイ(光線)に似た言葉を含むことから、未来の光学兵器を連想してしまう。あと平沢進の曲も思い出す。Pasirはマレー語で砂の意味だけど、人によってパシと発音したり、はたまたパシーやパシルだったりして、正解はよくわからん。

 

ブラックマーケット「ダコタ」

【解説】ダコタと聞いて思い浮かぶのは、アメリカの州ではなく、スーパーファミコンバトルドッジボール 闘球大激突! 」のストーリーモードに登場するダコタ星だ。手に汗握るリーグモードとは裏腹に、ストーリーモードはとにかく退屈。そのせいで、ダコタ=闇という印象が20余年たっても拭えない。実際のダコタは住宅街で、おいしいホーカーもあり、良いところです。

 

富野アニメに出てくる「何か」

 【解説】富野由悠季のアニメには耳慣れない響きの言葉が多く登場する(ア・バオア・クー、ゲルドルバ、ギドマックなど)。シンガポールの地名も耳慣れないものが多いから、そこに元ネタがあっても違和感ない。

世界の中心がロンドンであり続ける理由

今年の夏にロサンゼルスへ行くことになった。現地での仕事は楽しみだけど、あの横柄なアメリカの入国審査と、シンガポールからLAまでの旅路を想像すると、今から気が滅入ってくる。

シンガポールからアメリカへ行くには、東アジア(東京・北京・ソウル・台北など)を経由して、あわせて20時間以上かかる。サンフランシスコまでの直行便を使う手もあるが、それだと15時間も外の空気が吸えない。

シンガポールにとってアメリカは、地球の裏側どころか別の世界だ。そう思ったとき、ふとシンガポールを中心とした正距方位図法の地図が見てみたくなった。Googleで検索すると、任意の都市を中心とした地図の作れるサイトが見つかった。下図が、その出力結果だ。

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こうしてみると、東南アジアとオセアニア、インドと中国あたりが、シンガポールの近隣諸国と言えそうだ。北米は欧州より遥かに遠く、南米に至っては世界の果てだ。日本は近隣とは言い難く、福岡は北京と同じくらいの距離だけど、東京はソウルよりも離れている。

そんな東京はどうかと言えば、シンガポールからと比べて、アメリカの西海岸にずっと行きやすい。

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じゃあシリコンバレーの中心・サンフランシスコはどうだろう?これがなかなか悪くない。近場にはアメリカしかなく、ちょっと離れたところに欧州と南米、東アジアの主要都市が分布している。ゴーイングマイウェイで生きるには良さそうな場所だ。

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それがニューヨークを基準にすると、アジアが全くの別世界となって、やや偏りがでる。ワシントンを中心にすると、さらにアジアが遠い。

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じゃあロンドンを基準にしたら?

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これがグウの音も出ないくらい、世界の中心でした。

イギリスの立地良すぎ。そして、流刑地イギリスから遠すぎ。