岐阜のこと

今年の三月に帰国した折、実家の岐阜で運転免許を更新した。前回までは三田洞という岐阜市の北の果てにある運転免許試験場まで行かなければならなかったけど、今回からは中心地から遠くない「ぎふ清流文化プラザ」で済ませられるようになった。

清流文化プラザは、もともとは未来会館という名前で1990年代に作られた文化施設だ。その後、どういう理由があったか知らないが、2010年にひっそり閉館した。そして2015年に清流文化プラザとして再オープンし、主として免許更新を行う施設となった。

岐阜には、設立時の志の高さに反して、コンテンツが不足し、経営に困る文化施設が多い気がする。それはたぶん政治的に発足するからで、これはきっと他の地方でも当てはまる。

話は変わって、数年前にアメリカはコロラド州のボルダーへ視察に行った。SparkfunSpheroModular Roboticsといった世界に名だたる新興ガジェット企業の拠点が、ボルダー(とその近隣都市)に集中しているためだ。

「なんでボルダーで起業したの?」とModular Roboticsの社長に尋ねたら、「ひとつは共同創業者の恩師がボルダーの大学に移ったから、もうひとつは自然が豊かでQOLが高いから」と答えてくれた。コロラド州は、日本で言ったら長野や岐阜みたいなところで、山登りやウィンタースポーツが好きな人には堪らない場所らしい。

日本にも、所得より生活を優先させる起業家はいると思う。例えば、鎌倉で起業している人なんかは、そういうタイプだと思う。彼らにとって、岐阜は魅力的なんだろうか。何かの縁で訪れた人に、住みたいなぁと思わせるものがあるんだろうか。新しい文化や産業を興そうとしている人が、定住してくれる街なんだろうか。そんなことが、最近気になっている。

バゲット作りにハマる

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3週間くらい前から、バゲットを焼くのにハマっている。そもそも僕は、バゲットが好きだ。洋食を食べに行くと、メインディッシュの前に出されるパンで、つい腹をいっぱいにしてしまう。その一方で、僕は長い間、バゲットは家庭で焼けないもの、と思い込んできた。しかし調べてみると、普通のパンより材料も少なく、手数も少なくできることが判明した。そんなわけで、週末になるたびに焼いて、4回目になる。

現在、材料と分量はクオカを参考に、1度に3本分を焼いている。

recipe.cuoca.com

シンガポールで製菓材料を買うなら、奮発(Phoon Huat) だ。友人にブオナビスタの駅下にある巨大な奮発を教えてもらってからは、そこで材料を買っている。小麦は、Bob's Red Millというヒゲ親父のものを、モルトは奮発のプライベートブランドレッドマンを使っている。土みたいな色をしているので、仕上がりもくすんだ色になるが、味は悪くない。なおモルトを入手するまでは、砂糖を代わりに使っていた。

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シンガポールは温度が30度、湿度が90%前後なので、水分量だけは気をつけたい。生地をこねる時は、いきなり全部加水するのではなく、少しずつ足していくといいと思う。クオカの分量でいえば、およそ90-95%くらいの水で足りる。

ちなみに我が家では、パン生地をこねる時はティファールのミキサーを使っている。こちらで市販されているハンドミキサーは、安い機種でもパン生地をこねる用のニードルと、ミキサーと連動して回転する台座が付いてくる。余りパワーはないが、500gくらいの小麦粉を生地にするくらいはできるし、なにより汗だくにならずに済む。

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だいたいパン生地ができたら、ボウルに入れて、ラップして、冷蔵庫のなかで一晩放置して発酵させる。これをオーバーナイト法というらしい。

一晩たったら、パン生地が2倍くらいの大きさに膨らんでいると思う。ここからは、クックパッドの人気レシピに従って進めていく。

cookpad.com

ところで、パン作りで一番難しいのは、生地の状態の見極めだと思う。ベトベトしているのは、普通なのか、失敗なのか、判断基準がわからないうちは不安になる。そのあたりは、この本に非常に詳しく書かれている。ぜひ参考にしてほしい。

また成型の手さばきは、文字で読んでもわかりにくい。なのでYoutubeで検索して、先人たちの巧みな技を参考にした。

www.youtube.com

www.youtube.com

一次発酵の終わった生地は、1本200g弱に分割して、20分のベンチタイム。

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その後、綿棒などを使わず、指を使って長方形に押し広げていく。部分的に気泡があったりして、ナンのような雰囲気がある。

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長方形になったら、丸め込んでコロコロする。太さ長さはオーブンのサイズにあわせる。

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すると蠕動運動しそうな物体ができる。正直、ちょっとキモい。

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成型が終わったら、オーブンの予熱を開始しつつ、30分くらい二次発酵させる。二次発酵が終わったら、包丁でバゲットらしく切り込みを入れ、しっかり霧吹きで湿らせて、化粧塩のように小麦粉を振り、オーブンで250度・20分焼く。すると、こうなる。

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炊きたてのご飯が美味しいように、焼きたてのバゲットは、すごく美味い。バターをつけるともっと美味い。オーバーナイト法でやれば、寝起きから90分後には焼きたてのバゲットが食べられる。最高じゃないか。

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夕飯の残りのコロッケを挟んだら、最高が極まった。

ステラークは笑う

5月20日から、マリーナベイサンズ併設のアートサイエンスミュージアムHuman+という展示が始まった。その関連イベントでステラーク(Stelarc)の講演があったので、友人たちと行ってきた。

ステラークを知ったのは、ちょうど10年くらい前のことだ。出展したイベントのパンフレットに、サイバネティックアートの草分として、Third Handが掲載されていた。

その後、同じ作者が腕に耳を埋め込んだり釣り針で身体を吊り上げたりロボットにダンスさせられたりしているのを知って、びっくりした。サイバネティクスは、一方向からの切り口にすぎなかった。むしろオーストラリア在住だけあってMAD全開だった。そんな氏の狂気の片鱗は、笑い声にも現れていた。

ステラークが「んむふふふ」と笑うたび、会場はどよめき、そして笑うほかなかった。久々に、一撃を感じた講演会だった。面白かった。その日は高須さんチームラボの展示を案内してもらったりもして、総合的に刺激的な1日だった。

 

最後に宣伝。2017年の新作ができました。どうか、ご笑納ください。