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コンピュータは何ができないか2

読み終えた.後半に連れて「現象学最高!」という色合いが濃くなり,僕はまだそこへの決心ができていないので,ちょっとまだ得心できていない.

もちろん現在の設計のコンピュータは人間にはなり得ない,ということは承知した.現象学を抜きにしても,コンピュータは人間のように状況を把握することはできない.そのうえコンピュータに入力できるものは,物理的な情報をデジタル化した,ビットに限られてる.存在するインタフェースで,この溝は完全には埋められない.もちろんコンピュータを操るデザイナーの人形師的な妙で,それっぽいようなふるまいはできるけれど,局所的・限定的な解決方法にとどまっている.初期の人工知能に従事する研究者が夢を描いたように,一般性,すなわち人間のようにはならないのだ.

それと現象学に関してハッとしたのは,メルロ・ポンティのくだり.科学は技能的遂行が規則に従って記述されることを要求するけれど,これらの規則が技能的遂行に含まれる必要はまったくない,ってところ.僕らはコンピュータのようには生きていないし,コンピュータに喩えて考えるべきでもない,これはまったくその通りだと思う.

コンピュータはいろんなことに使えるけど,できることは限られている.その限界を懐にしまって仮説演繹的に技術を作っていくか,限界を笑いに変えて遊びをつくっていくか,もしくは離れて動向を観察するか,この選択が,僕らの在り方なのかもしれないな.