RENT

はじめてブロードウェイでみたミュージカルはRENTだった。そこで僕は、まるで神が降りてきたかのような現象に出会って、雷に打たれたような強烈な感動を覚えた。その感動を再体験したくて映画版を見たんだけど、残念ながら、そこに感動は無かった。思えばシカゴもそうだった。そのときは順序が逆だった。映画でシカゴを見た後に、期待に胸を膨らませてブロードウェイへ行った。だけど思った程の感動が得られなかった。

きっと、ブロードウェイのコンテンツが一回性にすべてを賭けるように作られているからなんだろう。劇場での一夜の奇蹟を生み出すために、すべての演劇的努力が注ぎ込まれているように思える。しかもそれが、あまねく人々に伝わるように作られている。「解る人に解ればいい」といった作りではない。その姿勢に呆れる人もいるかもしれないが、僕は凄みを感じている。だってブロードウェイのコンテンツは、一度は確実に神の降臨が起こるから。神の降りてこないコンテンツとは、一緒くたに捉えてはいけない。

僕はあまり日本の演劇を知らないけど、学生演劇・ストリップなどを含めて見たものに限って言うと、俳優養成学校に通っていたハヤカワくんのワークショップには、神が降りていた。装置も貧弱な芝居小屋だったけど、それですら降臨がおこった。