散髪

曇り。午前中は部屋で過ごし、午後から家を出て、散髪を済ませ、日吉へ向かう。ここ数日の蒸し暑さが堪えたので、いつもより髪を短めにしてもらった。カラマーゾフを読んで日吉に到着。すっかり形のできたモデルを造型機から取り出し、いつものように洗浄機にかける。今回は相当な量があったので、たびたびモデルと溶解液を撹拌して、サポート剤の除去につとめた。日付けが変わる前に、ようやく作業終了。そして本を読みながら帰路につく。

帰りの電車で、ついにカラマーゾフを読み切る。いやはや、なんて感想の言いづらい作品なのだろう。先人たちが最高傑作とうっちゃってしまった理由が、今では良くわかる。人間の思わんとするところが詰まりに詰まって言葉になっているので、素人が口を挟む隙は無いし、さらには玄人であっても口を挟み出したらキリが無くなってしまうのだ。それに登場人物たちは、読者の性格の一部を拡張したかのように描かれているからたまらない。自分自身の嫌なところ・眼を背けたくなるようなところを文章で提示されたら、胸がチクチクどころじゃなく、焼けるような痛みと、鈍く重い痛みに襲われてしまう。これは、ほんと、恐ろしい本だ。僕は、このような作品がつくれる境地に至れるのだろうか。それが悩ましくもあり、また具体的な目標設定ができた、という点で嬉しくもある。実に、恐ろしい本だ。