初釜

如庵

明けましておめでとうございます.

1月3日に玉井師と如庵の初釜へ行った.これが僕にとって初めての茶会になった.これまで書籍で歴史や精神を学び,美術館や博物館で茶器を眺めてきたが,やはり情報と現実との間には厳然たる差があった.端的に感想を言うと,「正月に日本人らしいことするの,いいですね」といったところ.僕が心の奥で希求していた,歴史や伝統の重圧が育んだ創意工夫の凄みに,思わずひれ伏してしまうような感覚は,ほとんど得られなかった.茶は堕落していると柳宗悦は言ったけど,新世紀を迎えてなお,そうなのかもしれない.それもそのはず,現代は安土桃山の頃とは生活も人間もが大きく様変わりしてしまったのだから.今となっては,トラディショナルな茶道の射程は短く,弾速も遅い.ミサイルの時代に,火縄銃は用をなさない.茶道の精神からすればもっとやれるはずだし,もはや茶でなくてもいいはずだ.そんな憤りを得て,初釜はいい勉強になったと思った次第.茶会には,懲りずに参加していきます.今年も,どうぞよろしくお願いします.