ラジオ

今日からサイマル放送radiko.jpが始まった.これまでラジオチューナーがなければ聞けなかったAM/FM放送が,インターネットを通じて聞けるようになったのだ.さっそくアクセスしてみると,面倒なユーザー登録や,ブラウザ・OSの区分や,バッファのための待ち時間もなく,すんなりラジオが楽しめて驚いた.さらにFMを超える高音質でAMが聞けることには感動すら覚えた.音質が上がると聞きやすいばかりでなく,「高田文夫の声ってこんなだったんだ」とか「深夜の馬鹿力のジングルって凝った作りなんだ」ってことが見えてくる.音だけなのに,見えるラジオよりも,ずっと見える.ラジオの未来までも.

ところで,radiko.jpが始まる少し前あたりから,期せずして僕は,ラジオのある生活を始めていた.例えば通学時には車中でAmerican Forces Networkを聞いてるし,作業するときはiTunesインターネットラジオからオルタナ系のチャンネルを選んで聞いている.なぜラジオを聞き始めたかといえば,ひとえに新しい音楽に触れたかったからだ.

学部と修士の頃は友人から音楽を教えてもらえたし,ケーブルテレビを通じて好きになれる音楽を知ることができた.それが博士課程に入ってからは,音楽の話ができる友人がいなくなってしまったうえ,ケーブルテレビにも加入しなかったので,新しい音楽に出会うきっかけを完全に失ってしまったのだ.その代わりといってはなんだけど,新たな友人とネットとニコニコ動画のおかげで,ゲームとアニメとラノベには少し詳しくなることはできた.でも僕は,そうしたものにハマりきれなかったんだなぁ.ナイスだとは思うけど,心から好きだとは言えなかった.

というわけで,こんなこと意識したのは生まれて初めてだけど,新しい音楽に触れられる機会を敢えて作ることにした.自分の幅を広げるために,学習の基本に立ち返ろう.つまりは,多くの情報をひたすらに受け入れることから始めよう.とはいえ雑誌じゃ情報が歪められている.一方でクラブやライブだと酔っ払って音楽を忘れてしまう.そこで手段としてのラジオが浮上してきたわけだ.

・・・そして今日,Beach Houseというアメリカのデュオを知った.ビーチボーイズやベルベットアンダーグラウンドのポップさに,シューゲイザーの幻惑が絡まったような雰囲気にやられて,さっそくiTMSでアルバムを買った.うん,すごくいい.今日の,春の訪れを告げるような,温かな雨の夜にバッチリ.