人生ゲーム

子供の頃は、凄い人や、偉い人と同じ視点に立てたらいいな、と思う事が多かった。努めてそうしていた気もする。まるで山を登るような気分だった。山頂を目指すこと、多くの山に登ることが素晴らしいと思っていた。山にいるだけで、なんか楽しかった。そして同じ山を登らない人が、いまいち理解できなかった。

 大人になるにつれ、人間関係が広がってくると、同じ山を登らない人とも一緒に何かすることが増えてきた。趣味に合わない映画を見ると疲れるように、感性や価値観の違う人と一緒にいると、それだけで疲弊するものだ。まず上手くいかない。ただ失敗をいくつか重ねると、疲れにも慣れるし、付き合いの塩梅もわかってくる。

すると、同じ山を登っていると思ってきた人たちとの間にも、明確な違いがあることに気づくようになった。つまるところ、自分と同じ山を登ってる人は、自分だけなのだ。この発見は、孤独や孤高というほどロマンチックじゃなかった。うすうす気づいてたけど、やっぱりそうだったのか。そんな、納得に近かった。むしろ今の人生は、山というより海なのかもしれない。浅い深いはあるけれど、高い低いはないからだ。

たぶん人生には、山ステージもあれば、海ステージもあるのだ。砂漠面もあれば、闇世界だってあるのだろう。それはまるでゲームのように。