深セン記

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最近はもっぱらMakerムーブメントの伝道師として国内外を駆け回っている高須正和さんに誘われて、8月5日から10日にかけて、中国の深センに行ってきた。

深センは、その全ては圧倒的な安さが引き起こしているように感じられた。まず材料費。例えばタミヤが250円で小売しているモーターは、華強北(ファーチャンペー)と呼ばれる電気街だと50円で買えてしまう。きっと原価は恐ろしく安いんだろう。人件費だってとにかく安い。組み立て工場で働く若者の月給は3万円強と聞いた。深センのスタバは日本より高いのに、製造業に関してはチビるほど安い。だからこそ、他の国では作れないものが、深センでは作れてしまうのだろう。だからこそ、世界中の仕事が深センに集まるのだろう。その仕事を求めて、中国全土から若い男女がやってくる。先進国からも意欲的な人々が渡ってくる。現地Seeed Studio社のスタッフが言うとおり、深センはゴールドラッシュ状態にある。ニギニギ。

今回の旅は、深センのMakerと日本のMakerを引き合わせるためのツアーだった。現時点で、Makerには2つの母集団があると認識している。ひとつは新たに製造業を興そうとしている人々。クリス・アンダーソンのMakersに描かれる世界に生きる人々だ。もうひとつは趣味や副業としてMakeしている人々。お金ではない報酬(作る喜び、見せる喜び、使ってもらえる喜びなど)を得ようとする人々だ。ものづくりの楽しさを分ち合おうとしているFabの人、技術の無駄づかいを至上とするニコ技の人も、こちら側だろう。

海外の大学に所属する僕は、前者と後者の境界にいる。ガジェットのプロトタイピングを専業にしているが、製造と販売を専業にすることはできない。加えて外国人労働者だから、自宅の3Dプリンタで作ったものをMaker Faireで売るのも難しい。そのため自分の制作物を世の中に送り出すためには、大学ができない部分を協力してくれる第三者が必要になってくる。この点で長らく悶々としてきたが、今回訪れた深センには可能性があった。自作の玩具がみんなの手に渡るように、今後とにかく頑張ってみようと思う。期待して待っていて欲しい。

ところで、実は6月末にも中国に行っていた。場所は杭州だったが、今回訪れた深センと同じく、街のいたるところで電動スクーターが走っていた。歩道走行、当たりまえ。車道の逆走、なんのその。ヘッドライトは無い。ウィンカーも無い。走行音は全くない。とにかく危険なんだけど、エコだから奨励されている不思議。ガジェットの試作はどこでもできるけど、EVを試作したいなら中国なのかもしれない。

最後に、これは強調しておきたいのだが、中国で食べる中華料理は本当に美味しい。誰もマックナゲットなんか食べてない。なかでも羅湖にある丹桂軒のローストダックお勧めです。

なお旅の模様は同行した井内さんのブログに詳しいので、是非ご一読下さい。http://omsrkb.tumblr.com/post/94342611700/makers こちらに参加者リストもあります。https://media.dmm-make.com/item/2027/

(写真は、基板工場の水揚げの様子)