僕は岐阜の育ちだけど、父が京都人だったせいか、あまり赤味噌を食べてこなかった。赤味噌への免疫がついてないので、今でも味噌カツと味噌おでんが苦手だ。味噌汁だって、敢えて赤だしを選ばない。どうしても塩辛く感じてしまう。ただ、土手煮と味噌煮込みうどんだけは例外的に好きだ。いや、大好きだ。
土手煮というのは、牛すじを赤味噌で煮た料理で、岐阜・名古屋の人は「どて」と呼ぶ。居酒屋なんかだと、串に刺された状態で煮込まれて出てくる。酒との相性が抜群にいいから、実家に帰って飲みに行くときは、だいたいどてを食べる。つまみとしての位置付けは、東京でいう「煮込み」と同じだと思う。七味とよく合うところも「煮込み」に似ている。
もう一つは味噌煮込みうどんで、これは説明する必要はないだろう。僕は家でしか食べたことがないから、観光客がよく食べる山本屋の固い味噌煮込みうどんを知らない。とはいえ、近所のスーパーで3玉100円くらいで売ってる茹でうどんで作っても、味噌煮込みうどんは美味い。夏に食べても美味い。
そんなわけで、シンガポールに来てからも、ときどき味噌煮込みうどんを作って食べる。妻が名古屋出身だから、こういうときに助かる。この前に帰省した際、妻の母が八丁味噌をもたせてくれた。これで味噌煮込みうどんを作ったら、目が醒めるほどうまかった。
八丁味噌というのは、赤味噌の原液みたいなものだ。豆100%でできていて、焦げ茶色で、固い。 この八丁味噌に米味噌を混ぜて、柔らかく使いやすくしたのが、スーパーで売ってる赤味噌だ。八丁味噌と赤味噌、どれくらい違うかというと、ナチュラルチーズとプロセスチーズくらいコクが違う。そりゃこんな美味いもん食ってたら、家康も天下とるよね。
ただし、アルミのパッケージに入ってるくらいだから、なるべくフレッシュなうちに食べないといけないみたい。開封してから数ヶ月後に使ったら、風味がとんでしまった。要注意。