シンガポールに住み始めたのは2010年12月だが、以後3年強はルームシェアをして暮らしていた。一人で住めるようになったのは2014年2月のことで、自分専用の作業場が手に入った喜びも手伝い、大枚をはたいて3Dプリンタ(Makerbot Replicator 2X)を買った。その最初期に作ったのが、上の写真のキーホルダーだ。
このキーホルダーを、僕は5年以上使っている。普段はもちろん、出張、旅行に行く時だって、ズボンのポケットに入れている。その結果、角は丸く、縁は歪み、文字は折れ、穴は削れ、面にはテカりがでてしまったのだが、それが実に面白いと思っている。3Dプリンタは試作のため、当座のための道具だ。そんな3Dプリンタで作ったキーホルダーを肌身離さず使っていたら、味が出て、妙に渋くなった。こうなって初めて「デジタルファブリケーションによる一点もの」と言える気がする。
「LAB1」とは「家こそが第一の実験室である」という意味。上司も部下もいない、自分(と家族) だけのラボ。LAB1をもったことは、自分にとって独立独歩の始まりだった。だから、たとえこのキーホルダーが壊れたとしても、またLAB1を刻んだキーホルダーを作るだろう。みんなもLAB1を持とう。