「三つの密」が覚えられない

コロナを防ぐには、まめな手洗いとともに、「密閉、密集、密接」の三密を避けることが大事らしい。だが自分はこの三密が覚えられない。「密室と、密封と、あとなんだっけ?」といった具合で、正しく覚えられない。思えば子供の頃から、受験勉強の時からそうだった。賢い人は、情報をキーワードに圧縮することで、脳の記憶容量を稼ぐことができるのかもしれない。だからこそ、良かれと思って三密なる言葉を考えるのだろう。でも自分は、キーワードを記憶したり、キーワードから情報を解凍したりするのが、異様に不得意である。今回のように、密閉、密集、密接といった類似する抽象的な言葉を、さらに三密という言葉で覆ってしまうと、一層わけがわからなくなる。こういう時、自分のような人は、具体的な場所や状況を思い浮かべて記憶するしかない。

現時点で自分は、三密とは「居酒屋」的な状況だと理解している。狭く、風通しが悪く、不特定多数の人間が集まり、マスクをせず、大声を出して喋り、滞在時間が長い。飛行機や長距離バスも三密なんだと思う。外気が入らない環境で、不特定多数の人間と数時間すし詰めになり、寝食を共にする。こうした状況に近づかないことが、コロナウイルスを防ぐ方法だろう。

今に至って、自分はまだ「密室、密会、あとなんだったけ」状態なのだが、イメージの力によって、避けなければならない状況は理解できている。もっとも、風邪を貰いやすい場所を避ければいい、というだけの話なのだ。わかりやすい風のキーワードではなく、少しの理屈と、自分の経験から判断したほうが、足りない頭には上手くいく。