2020年2月17日に、厚労省は新型コロナウイルスの行政検査を受ける基準として下記の2症状を挙げている*1。
自分は長らく、この2症状が「ともに」あらわれてはじめて、コロナウイルスの感染が疑われるのだ、と勘違いしていた。だが実際のところは、2症状の「いずれか」に該当すれば、検査を受ける基準が満たせたのだ。
自分が誤解をした理由は、第一に東京都の新型コロ対策サイト*2の図解による。
上記の画像は、2020年3月18日にwebarchive.orgにキャプチャされた、東京都の新コロ対策サイトから切り出した*3。明確な日時までは覚えていないが、4月上中旬までは上記の画像が使われていたと思う。自分は東京都のWEBサイトを信頼していたので、上記の4症状、厚労省の基準で言えば2症状を満たして始めて、検査が受けられると思い込んでしまった。
第二に、政府対策本部の専門家会議と厚労省クラスター対策班が運営するWebサイト*4である。
上記の画像は、前述のWebサイトの「#感染時に備えよう 体調が悪いときにすること*5」という項目の冒頭に掲載されている画像だ。そして、すぐ次に、下記の画像が掲載されている。
これらの画像をみて、自分はやはり「風邪か発熱4日」「倦怠感と呼吸困難」の2症状が揃って始めて、コロナの感染が疑わしいのだと理解した。文章中にも「いずれか」「どちらか」「or」といった言葉がなかったため、誤りに気づくことはなかった。
それが誤解だと知ったのは、2020年4月22日に行われた専門家会議の会見による。専門家の一人、釜萢医師が「苦しければ、4日待つ必要はない」と述べたからだ。
「は???」と思って調べてみると、確かに厚労省は「いずれか」と記載している。当時の新聞も、厚労省の発表をもとに図を起こしている。そこには、倦怠感と呼吸困難があれば「すぐに」相談すべきと書いてある。よって「息苦しさ」を感じたら、4日を待たず検査が受けられるべきなのだ。
自分の間違いは、専門家会議と、専門家会議と密に連携している東京都が、わざわざ情報発信するために特設したサイトだからこそ、政府発表より速く正しい情報が入手できると思い込んだことに始まる。それが二重の誤りを生んだ。実に浅はかだった。
だが、こうした誤解は、たぶん自分だけのものではない。新聞ではなく、WEBを中心に情報を得ている人は、自分と同様に「とにかく4日は自己療養」と誤解していたのではないだろうか。
2020年4月26日現在、東京都の新コロサイトは、下記の画像を使って検査を促している*6。
きっと理由があって画像を変更したのだろうが、未だに「いずれか」なのか「ともに」なのか、一目で判断できない状態にとどめている。埼玉県が「いずれか」を明記*7し、神奈川県も発熱と呼吸困難を分離している*8にも関わらずだ。専門家会議の特設サイトの方は、変更する兆しもない。
上記サイトの運営にはデザイナーも参画しているようだ。彼らは、自身のデザインが人の人生を左右していることに気づいているのだろうか?
2020年4月28日追記
専門家会議は「おさらい」と称して、情報デザインの誤りを修正した。彼らの記事によると、厚労省は2020年3月22日までに「いずれか」が周知されていない問題を把握し、各自治体に通達していたようだ*9。それを専門家会議は、一ヶ月以上もスルーしていた。また自身の情報発信に問題があったことは認めていない。
*1:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000596978.pdf
*2:https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
*3:http://web.archive.org/web/20200318184909/https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/flow/
*4:https://note.stopcovid19.jp/
*5:https://note.stopcovid19.jp/n/ncf680f3ea3f2 2020年4月26日確認
*6:https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/flow 2020年4月26日 確認
*7:http://www.pref.saitama.lg.jp/a0701/shingatacoronavirus2.html