自分の右肩には、ちょうど肩を揉んで気持ちよくなるあたりに、粉瘤(ふんりゅう)という袋が、皮膚の奥に存在している。普段は、触っても存在感がないくらい、小さい。ただ、仕事が忙しかったり、精神的に滅入ったり、体の抵抗力が弱まると、袋は膿がたまって、膨らんで腫れて、500円玉より大きいくらいになる。中心部が盛り上がって、それに引っ張られてまわりのかわも隆起するから、目玉焼きのようになる。腫れてる時は、リュックなんて背負えないくらい、痛い。
最初に腫れたのは2007年で、その次が2013年ごろ。そして子供が生まれた2020年末、久々に粉瘤が腫れた。病院にいっても抗生物質をもらうだけだし、根治するには手術で袋を摘出するしかない。いずれにせよ腫れているときは、炎症が治まるのを待つしかないようで、嫌な気分で日々を過ごすことになる。
粉瘤にはたこの吸い出しがいい、といわれている。ちびまるこちゃんの故さくらももこが、それで直したからしい。が、これはダウトだと思う。少なくとも自分には効かない。タコの吸い出しは、硫酸銅とサリチル酸で、皮に穴をあけて、膿の出口を作る薬だ。ニキビのように触ってつぶれるくらいの腫れ物なら効く。でも、皮膚の奥深くにいる粉瘤には、太刀打ちできない。
どうせ気休めにしかならないなら、自分はティーツリーオイルに頼る。殺菌効果のあるアロマオイルだ。ティーツリーオイルはシンガポールの薬局でよく売っていて、2回目の炎症から使用を始めた。3回目もティーツリーオイルを塗っていた。即効性があるわけじゃないが、じわじわと腫れは引いていった。