3年に1度、新潟で開かれる大地の芸術祭に行った。埼玉で働くようになってからずっと気になっていたが、ようやく行けた。でも、いざ行こうとすると、混乱ばかりだった。第一、名称からしてややこしい。大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2024。田舎の芸術祭って全部「大地」の芸術祭じゃないの?「越後」は「新潟」と違うの?「妻有」ってなんて読むの?「妻有」ってどこなの?そんな疑問ばかり頭に浮かんで、出発前からすでにぐったり。
見回り方も、全然わからない。300点以上の作品が地域に点在しているうえ、土地勘どころか作家勘もないので、WEBサイトをみても情報が像を結ばない。明確だったのは、街の中央にある美術館にいけばクワクボリョウタの作品が見られる、くらい。4,500円の周遊パスにしても、大半の作品は無料で見られるっぽいので、わざわざ買う必要があるのかどうか。だから結局、宿だけとって「えいやっ」と出かけた。
それで現地に着いて、1泊2日を過ごしたのだが、なかなか良かった。子供が飽きない程度に、車で行けそうなところを見て回っただけだが、各所で学園祭のようなエネルギーが感じられて、妙に嬉しい気分になった。大地の芸術祭という名前は正しかった。場所のパワーをどう使うかが問われていたからだ。自分のものづくりとは違う戦いの世界だった。
その上で、今回最も「大地」を感じたのは、芸術祭より宿だった。適当なビジネスホテルがなく、なんとなく古民家一棟を借りたが、実に良かった。田畑と家屋が近いから、1階の畳の上で寝転がっているだけで、まるで大地のパワーを吸っているような、充実を錯覚することができた(ヘッダの画像は宿の宣伝素材より)。