運動が嫌いだ。それでも運動をしないと体調が悪くなるので、定期的に運動をマイブームにしている。山に登ったり、水泳したり。今回は、それが自転車だった。
2020年度は体調が大厄だった。まずコロナ禍からの運動不足で3kg太った。もともと184cmの93kgで、BMIは過体重だったけど、生活するうえでのバランスはとれていた。ジムにも通ってたし、よく食べ、よく考え、よく動き、よく作ることができていた。それがジムが閉鎖され、職場も入構できなくなり、体重が増え、均衡が崩壊した。集中力が散漫になり、作業に打ち込むことができなくなった。追い討ちをかけるように、ぎっくり腰にもなった。遠隔講義対応で、座りすぎたせいだ。
前期の授業は完全遠隔だった。ジムは再開されたが、行きづらかった。体調は低空飛行のまま、春と夏が過ぎた。そして秋に、子供が生まれた。すると1ヶ月で体重が8kg落ちた。ミルクを作って、オムツを変えて、授乳して、寝かしつける。これを3時間サイクルで繰り返す。現職は男性の産休がないので、朝になれば仕事に出る。その間、育児は休めるが、身体は休めない。そんな状況を続けていたら、体重が88kgになった。減量というより衰弱だ。さらに育児の中腰がたたって、再度ぎっくり腰になった。右肩にある粉瘤も、7年ぶりに腫れ上がって、リュックが背負えなくなった。育児は喜びの連続だが、心身を削る持久戦でもある。
休日になると、離れたスーパーまで、自分が食料品を買いに行く。そのための折り畳み自転車も、自分と同じように、調子が悪くなっていた。時間的にも精神的にも修理をする余裕はなかったが、寸暇をみつけて直していった。自転車が調子を取り戻していくと、自分の体調も良くなったような錯覚があって、それが生きる励みになった。
それからまた、しばらく時間がたった。冬が終わる頃、子の睡眠時間が飛躍的に伸びた。夜8時前に寝はじめると、途中1〜2回の授乳は挟むものの、朝7時頃まで寝てくれるようになったのだ。妻のネントレ(ねんねトレーニング)と、子の成長のおかげだ。夜の世話から外れ、睡眠時間が伸びると、腫れたあがった粉瘤も、触ってわからないほどに小さくなった。多少は晩酌もできるようになった。つまり、1日に1回、息をつく時間がとれるようになった。
2020年度は体調が大厄だった。体重は増減し、それに伴って体力が落ちた。寿命の目減りを感じた。そこで、修理をきっかけにマイブームとなった自転車で、体力づくりをすることにした。自転車通勤は、遊んでいるように見えるかもしれないが、大学教員はサラリーマンで、サラリーマンは体が資本なのだから、仕事の一部と言えなくない。
自転車通勤を初めて3週間ほど経過した。楽な自転車を買ったので、運動強度は低いと思う。体重は87kgとほとんど変わらないが、代謝はよくなった。薄着でも平気なので、朝からTシャツで授業をしている。ただ、そのことを学生に揶揄されて、ちょっと決まりが悪かった。そのうち陰で「小学生」と呼ばれるのかもしれない。
子供は順調に大きくなっている。高い高いが好きなので、父の腰痛は治りそうがない。小林旭のCMソングを口ずさんで、明日もやっていきたい。