帰国中に玉井尊師と諏訪をおとずれた。岐阜と長野はお隣さんだけど、日本アルプスに阻まれてるせいで、感覚的に距離が遠い。だからこそ旅することにしたのだ。そしたら最高だった。家路につくまでエキサイティングだった。
なかでも興奮したのは、やっぱり藤森照信さんの建築だ。写真で見ると重たそうなのに、実物はすごく軽い感じがした。もちろん建築だから持ち上げたりすることはできないんだけど、壁面を撫でたときに、軽石を触った時と同じ感じがした。そうした視覚と触覚の矛盾による面白さに気づけて良かった。実物を知るのは、やはり大事だ。
その後、出国前に玉井尊師が自作の黄瀬戸茶碗を授けてくれた。これがまた仰天の茶碗だった。抹茶茶碗なのに高台がなく、「とってつけた」ように取っ手があり、鈍器になるくらい重いのだ。そんな茶碗を見た弟が、ケトルベルと銘をつけた。すると、なぜだか妙に愛着が湧いてきた。シンガポールに戻ってからは、ケトルベルをコーヒーカップとして愛用している。同僚からのウケもいい。