スリランカ旅行の方法

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9月末でシンガポール国立大学を去った。いい機会なので、日本へと帰る前にスリランカを旅行することにした。きっかけは、前職にスリランカ人の同僚が多くいたからだ。彼らがみなナイスだったので、スリランカへの興味が8年をかけて醸成された。そして、ついにチャンスがやって来た。スリランカは、控えめに言って、最高だった。

みんなも是非スリランカに行って欲しいから、今日は旅の方法を、まとめておこうと思う。ちなみにガイドブックは地球の歩き方とアルコを持っていった。個人的にはアルコがおすすめ。下記の情報はガイドブックの補完として利用してください。

都市間移動

スリランカは素敵な国だが、鉄道網が全土に広がってない。特にシーギリヤなど古代遺跡を尋ねるには、車を使って行くしかない。そこで移動手段として考えられるのは、およそ次の3つだと思う。

  1. グループツアーに参加して、ワゴン車で移動する
  2. バックパッカーとして、鉄道・路線バス他で移動する
  3. 空港で旅行日数分のハイヤーを手配し、専属のドライバーと共に旅行する

1は、旅程が過密になったり、好きなものが食べられなかったりするので、パス。2は、格安に移動できるが、大きめのスーツケースをもってるから無理。3は、相性の悪いドライバーに出会うと、旅全体が嫌な気持ちになってしまいそうで、不安。そんなわけで今回は、都市を移動するたびに、長距離タクシーを手配することにした。

  • 1日目:パンダラナイケ空港→キャンディ
    空港の制限ゾーンを出てすぐにあったタクシー会社で相見積もりを取り、Casonsにした。新型のプリウスで3時間・6500ルピー。
  • 3日目:キャンディ→ノリタケ工場経由→ダンブッラ(4時間半・7,000ルピー)
  • 4日目:ダンブッラ→シーギリヤ&ポルンナルワ→カンダラマ(6時間半・8,000ルピー)
  • 5日目:カンダラマ→コロンボ市内(4時間半・12,500ルピー)
    以上3日間の移動はTaxi Sri Lankaを使い、各前日に配車予約した。スリランカには、Taxi Sri Lankaは、スリランカ各地域のタクシー会社を仲介してくれるサービスだ(と思う)。類似のサービスとして、Get Transfer.comBroom Broom Taxiがあるけれど、Taxi Sri Lankaが圧倒的に安かった。なにより価格表が掲載されているのがいい。日中なら、問い合わせのメールを送って、1時間くらいで見積もりが提示されるので、レスポンスも悪くないと思う。配車される車は決して新しくは無いけど、型落ちのカローラ程度だから、特に不満はない。ドライバーも、毎日いろんな人がやってきて、面白い。チップは、毎回300から500ルピーくらい渡した。文句があるとすれば、支払いが現金・ルピー払いなことくらい。

市内移動

市内移動は、トゥクトゥクが圧倒的に楽しい。なにより土地の風を感じることができるし、オイルくさい車内や、坂道で悲鳴をあげるエンジン、カーブでたわむボディ、妙にけばけばしい内装が、いちいち愛おしいんだけど、ドライバーとの価格交渉だけは面倒だし、ぼったくられてるような感じが常に拭えない。そんなときにPick Meという配車サービスが役に立つ。操作感はUberと同じで、クレジットカードで支払いができ、トゥクトゥクにも乗れる。コロンボほか、大きめの街で使える。注意すべきは、雨天時・ラッシュ時のつかまえにくさと、稀にシステムが不安定なこと、くらい。コロンボ市内から空港にもいける(高速代は別途払う必要がある)。 あとUberも使えそう。

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SIM

パンダラナイケ空港の制限ゾーンを出ると、通信会社がSIMを売っている。自分はAirtelの通信7ギガ・通話30分・700ルピーのSIMを買った。山間部での移動中は電波がとれなかったけど、それ以外は普通に使えたので、不満はない。

アーユルヴェーダ

本格的なアーユルヴェーダをうける時間はなかったが、コロンボスパ・セイロンで、額にオイルをだらだら垂らす「シロダーラ」というトリートメントを受けた。シロダーラは午前中にやるべきものらしく、午後12時以降の施術は受け付けないとのこと。要予約。

腰痛ベルトに救われた

30歳を過ぎたあたりから、ギックリ腰に悩まされるようになった。運動意欲が消えるほど忙しく、休日を眠って過ごしたり、ストレスを食で発散させる日々が続くと、決まってギックリ腰がやってくる。今回は最悪なことに、バンクーバーへの出張前日にヘビーな奴がやってきた。一晩で回復するわけもなく、出張当日の夜明けはジンジンと熱を持ち、ベッドから立ち上がるのも難しかった。そこで生まれて初めて腰痛ベルトのお世話になった。

最初に買ったのは、バンテリンのサポートベルトだ。臍の下あたりで、これでもかというくらい締め付けてやると、歩いたり座ったりするのが少し楽になった。内臓が締め付けられる苦しさはあったけど、腰の痛みに比べれば屁でもないので、気にならなかった。この腰痛ベルトと、パナドール*1のおかげで、カナダまでのフライトを乗り切ることができた。

腰痛ベルトが効く理由は、あまり良く解明されてないらしい。腰部の動きが制限されるので、いたずらに患部を傷つけずに済むのはありそうだ。それと締め付けによって腹部の密度を上げることで、上半身を支える筋肉の負担を減らせるのかもしれない。

さて。バンクーバーについてからも依然として腰は痛み続けた。もちろん日に日に良くはなってはいた。しかし立ち止まって話なんかをしていると嫌な感じがやってくる。今回の出張の目的は学会での口頭発表だった。壇上で踏ん張るために、より強力そうな腰痛ベルトを現地の薬局で買うことにした。

Futuroのベルトは幅広な分、背骨から腰骨を満遍なくホールドしてくれて安心感がある。また2種類のベルトで締め付けるので、腹部を苦しめなくても、腰部に密着させることができる。肌着のような色はかっこ悪いし、購入価格はバンテリンの2倍ほどしたけど、装着時の快適さは圧倒的によかった。なので、以降はこのベルトをつけて過ごした。おかげで学会発表と、帰りの飛行機、そして日本での夏休みをエンジョイすることができた。

Amazonだと、この両者が同じ値段で売っている。腰に不安がある人は、腰痛になる前に買っておいて損はないだろう。僕のおすすめはFuturoだ。次の出張や旅行の際にも、絶対に携帯すると思う。

*1:シンガポールをはじめアジア・オセアニア圏で人気の鎮痛剤・Panadolは、1日4,000mgまでアセトアミノフェンが摂取できるように設計されている。含有量がパブロンの約4倍なので、とにかく効く。

失っても、生きる

メガロボクスというアニメが面白かった。あしたのジョー50周年を記念した1クールのアニメで、かつて「ジャパニメーション」と呼ばれた作品がもっていたクールさがあり、毎週、ほんとに楽しみに見ていた。今井レオのオープニングテーマもかっこよかった。

megalobox.com

登場する外骨格ギアの必然性については賛否両論あると思う。いや否定意見の方が多いだろう。メガロボクスとは、外骨格型パワードスーツ(通称ギア)を開発する財閥企業が、軍事転用を見据えたテストベッドとして主催する、ボクシング風の興行だ。それなのに、ギア付きの選手が生身の人間に、ことごとく負けてしまう。しまいには、財閥企業の専属ボクサーすら、ギアを外して戦い始める始末。

人間と機械によるスポーツと聞いて、僕らはF1やボブスレーのようなものを想像しがちだ。アスリートとエンジニアとコーチが一体になって、勝利にひた走るイメージを思い浮かべる。だがそうしたスポーツの多くは、スピード競技(もしくは演舞)、いわば「人 vs 神 (≒物理法則)」の戦いだ。

人と人とが拳を交わすメガロボクスにおいて、むしろギアは拘束具のように描かれていた。そもそもボクシングのグローブは、双方にダメージを与えすぎないためにある。プロが素手で殴りあえば、選手として再起不能になってもおかしくないのだ。

しかし、後先を考えずに強い・弱いを競うなら、ボクサーとはいえ素手ごろで戦いたいのではないか?ましてメガロボクスでは。いくらプロの選手でも、ギアの七光で勝ったと観客に言われては、誇りが得られまい。

メガロボクスで描かれる拘束具は、ギアだけではない。市民権がない、借金がある、両親が死んだ、選手生命が潰えた。こうした負の拘束を背負う人物がいる一方で、恵まれた生まれゆえに拘束から逃れられない人物も登場する。みな望むと望むまいと、自らの拘束と戦うことになり、そして取り返しのつかないものを失っていく。

それで彼らは真っ白に燃え尽きてしまったのだろうか?

答えはノーだ。「戦って、死ね」とは往年のジャパニメーションスプリガン」のキャッチコピーだが、最新のジャパニメーションメガロボクス」はそうじゃなかった。人は「失っても、生きる」のだ。戦って失うことは、人生に敗けることじゃない。そして人生は、勝手一人で終えるものではないのだから。

本当にいい作品だった。関わったスタッフの次回作が楽しみだ。