肉の食べ方

火鍋と麻辣香鍋が好きだ。何を入れても美味いのだが、できれば肉はラムで食べたい。問題は日本で買える羊肉が無臭であること。豚肉と間違えるほど癖がないので、ラムがスパイスに押し負けてしまうのだ。同じことは牛肉でもある。日本で買える牛肉は、国産牛も輸入牛も、臭みもないが癖もない。シンガポールで買っていたオージービーフには、グラスフェド独特の臭気があり、それが食べ応えを演出してくれていたのだが、日本で買える牛肉は、匂いも味も淡い。

日本人がおおっぴらに羊や牛を食べるようになったのは明治以降だが、その頃の牛肉は今の和牛とは及びつかぬほど、ワイルドな味だったと想像する。だからこそ魯山人は、こんな風にすき焼きを調理したのではないだろうか。

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このレシピを、自分は次のようにアレンジしている。赤身が多くて癖の強い、安くてワイルドな輸入牛ほど美味しく食べられる。実に愉快だ。

  1. 鍋に牛脂を溶かして、肉を焼く。味付けは醤油とキビ糖。生卵をつけて食べる。
  2. 肉を食べ切ったら、野菜、茸、豆腐、しらたきなどをいれる。豆腐は鍋底に置けば焼けるので、焼き豆腐を用意することはない。野菜の上から、醤油、キビ糖、味醂、料理酒をかけて、蓋をして煮る。無水調理の要領だ。野菜に火が通ったら食べる。食べ切ったら、煮汁は雑炊のために別碗にとっておく。
  3. 腹が膨れるまで1と2を繰り返す。
  4. とっておいた煮汁で飯を煮て、卵でとじ、雑炊にする。

そして、このレシピは決して霜降り肉でやってはいけない。脂の多い牛肉を鍋で焼くと、脂が跳ねて不都合だ。それに脂の味は、すき焼きよりシャブシャブのほうが味わえる。