創作のための道具は、なるべく所有したい

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創作のための道具は、なるべく自分で所有したい。何故なら、何かを作る時に、誰かの許可を得たり、手続きを踏んだり、気を遣ったりするのは、創作の楽しさをスポイルするからだ。

一昔前の3Dプリンタは、大昔のコンピューターと同じだった。しばしば資金力のある人間の、権勢を高めるための道具でもあった。職場の上司がそういうタイプだと、かなりクリエイティビティが消耗する。それが今やノートパソコンを買うくらいの手軽さで、個人が所有することができる。使用権が自分の裁量下にあるだけで、ものづくりの手間が格段に減る。

創作の道具を所有すると、新しい自由が得られたような気がして、どこか晴れ晴れしい気持ちになる。ただの購買活動なのに、一種の善行を果たしたかのような錯覚すら感じる。自分で現金を張ったぶん、使いこなそうという必死さが生まれるのも良い。だから自分は、自分で所有する道具を増やしていきたい。

さて、ここからは蛇足。

この夏、はじめてビデオカメラを買うことにした。映像を専攻していた学生の頃から、ビデオカメラはずっと大学のものを借りていた。もっとも、学生の頃は良かった。誰に憚ることなく、最新のビデオカメラが図書館で借りれたからだ。だけどシンガポールに渡ってからは、研究室の備品を借りるほかなかった。そこに小さくないストレスを7年くらい感じていた。

せっかく買うのだから、ちゃんと使えるものが欲しかった。これまでソニーのFDR-AX1を使ってきたので、最低でも同じようなことができるものがいいなと思った。つまり4Kで撮影できて、一人で無理なく操作できるものだ。

同じSONYの製品を探していくと、FDR-AX100が良さそうだった。センサーはAX1より大きく、マニュアルコントロール系の充実は、往年のTRV950を思い出させた。ただ20万円近い値段には、納得がいかなかった。よりセンサーの大きいミラーレス一眼が買える値段だからだ。

4Kが撮れるミラーレス一眼となると、ソニーパナソニックの二択になった*1。スペックを見比べる限り、性能はソニーが際立っていた。しかし使用者のレビューを読むと、パナソニックの方が安定して使えそうだった。レンズもパナソニック(を含むマイクロフォーサーズ規格)のほうが豊富で、比較的安価だった。あとは、ヘッドフォンジャックやゼブラの有無、液晶モニタが反転できるかどうか、が決め手になった。

最終的にパナソニックのGH4を買った。既に後継のGH5が出ていたけれど、差額で明るいズームレンズを買ったほうが良いと思って、12-35 F2.8のレンズも注文した。

 

まだ映像は本格的には撮れてないのだけど、週末がくるたびGH4を持ち出して、街で写真を撮っている。冒頭の写真、そして次からの写真は、シンガポールのナショナルギャラリーで開催されている草間弥生展で撮影したものだ。

f:id:exyk:20170827101034j:plainこれまで使ってきた一眼レフが、2008年から2009年に発売されたキヤノン製のものだから、隔世の感がある。特に画像の精細感や、オートフォーカスの正確さ、液晶モニタを使った撮影の快適さは、圧倒的にGH4がいい。薄暗い美術館にも関わらず、インフィニティネットがつぶさに記録できたときは、感動すら覚えた。

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とはいえEOS 5D Mk2で撮った写真には立体感や空気感があるし、Kiss X3は光学ファインダーがついて小型軽量という利点がある。あと、手に馴染んでいるからという理由以上に、キヤノンのカメラは操作しやすい。なので、これからも並行して使っていくと思う。動画と旅行・出張はGH4、それ以外はEOSになると思う。

今日の日記にオチはない。なので最後にGH4で撮影した草間弥生の歌を掲載して無理やり終わる。

*1:実際は富士フイルムのカメラも4Kが撮影できたけど、ビデオカメラとして使うには不便そうだった。明るいズームレンズに手振れ補正が付いていないのも気になった。とはいえ、この3月に5D mk2を手に入れてなかったら、不便を承知でX-T20かX-T2を買ったかもしれない。それくらいフジのカメラは魅力的だ。