2019年が終わろうとしている。現職は夏季休暇が1ヶ月と短いぶん、学期末がくるのも早い。授業も今週でほぼ終わった。あとは試験と採点が残るのみで、声を張る必要はない。
教員としての最初の一年は、ほぼ授業準備と研究環境の整備へと費やすことになった。1回の授業を作るのに、実習は1-2日、講義なら2-3日は必要だった。教科書だけでなく、一般書や図録や論文を読み込み、適切な画像や映像を収集し、それをスライドにまとめていくと、無限に時間がかかり、休日が消える。研究環境の整備も同様だ。いろんな人の助力を得ながら、ようやくラボ(写真上)も形になったが、廃墟同然の状態からここまでくるのに半年近くかかった。
物を作るときは、時間と情熱がいる。まだ世にないものを作るときは、尚更だ。それは教育も一緒だと思う。時間を湯水のように使い、情熱を惜しみなく注ぎ込んではじめて、理想の学舎はできるのだろう。
さしあたって2019年は、毎日が筋肉痛のような状態だった。スポーツ自体は楽しくても、自分に見合った技術や体力がなければ、肉体が悲鳴をあげる。それと同じように、教育自体は喜びに満ちていたが、そのための準備や経験が不足しているため、あらゆることに対して余裕がなかった。余裕がないと何がまずいか。仕事上の理不尽なこと、人生のままならないことに出くわした時、溜め込んだストレスを発散させる余裕すらなくなるのだ。今年はそれで疲弊した。せめて意気投合できる仲間や、メンターになる人が職場にいればいいのだけど。
働き始めて10ヶ月。日本に帰って1年余。ようやく新しい物が作れそうだ。ここまで本当に長かった。